厚生労働省の「第13次労働災害防止計画」では、目標の一つに「ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上とする」という項目を掲げています。(2016年では集団分析の結果を活用している事業場は37.1%)
この計画では、単にストレスチェックを実施するだけではなく、集団分析を実施し、その結果を活用する事で、職場の改善に繋げる事を求めています。皆さんの事業場ではストレスチェックの実施、その結果から集団分析を行ない、その結果を活用した職場改善に活動を繋げられているでしょうか?
多くの事業場では、外部委託先の処理によって、部署毎の集団分析まではシステム的に実施しておられるようです。
しかしながら、その分析結果は事業場内の担当者が確認するだけに留まり、その内容も上手く活かせていないのが実情のようです。
私共では、ストレスチェックの集団分析と職場改善を専門とする外部メンタルヘルス支援機関として、事業場におけるストレスチェックから職場改善への取り組みをサポートしております。皆さんの事業場での職場改善への取り組みへの事例として参考にしていただければと思います。
職場改善への取り組み事例のご紹介
- 集団分析結果納品時の結果報告会(1〜2時間)
- 集団分析結果を納品させていただく際に、事業場の担当者のみならず、経営層の方々にも同席いただき結果報告をお聞きいただきます。社内で報告される際に、「解釈が難しくて、なかなか上手く説明することができない」等のお困りポイントをサポートしています。ストレスチェックとメンタルヘルスを専門としている労働衛生コンサルタントが皆さんの事業場の「傾向」、「強み」、「課題」等を分かりやすくご説明させていただきます。
- 各部署への個別コンサルティング(1部署あたり1時間程度)
- 各部署の部門⻑、管理監督者、リーダー層の方々に集まっていただき、該当部署の集団分析結果をご説明し、「強み」と「課題」を認識していただき、前向きに職場改善を考えていただくための部署別の個別コンサルティングを行ないます。特に集団分析結果が思わしくなかった部署には、問題点の詳細な聴き取りからのアドバイスが可能な為、大変有効なフィードバックの方法と思われます。
- 管理監督者・部門⻑への集団分析結果フィードバックとグループワーク(約2時間)
- 管理監督者・部門⻑を含めた部署の関係者にお集まりいただき、集団分析結果のフィードバックを受けた後、部署毎、あるいは役職毎に集まっていただき、各部署での職場改善として何ができるかを話し合い、意見を出し合っていただきます。
最終的に今後の一年間で行なえる職場改善活動を考えていただきます。
- ストレスチェックとMIRRORの集団分析結果フィードバックセミナー(約2時間30分)
- ストレスチェックと併せてMIRROR(メンタルヘルス改善意識調査票)のアンケート調査を同時に行ない、同じ集計単位での集団分析を実施する事で、各職場の現状把握と職場改善の要望度合いを把握することができます。また、その結果を管理監督者・部門⻑にフィードバックすることで、管理者層が考えている課題や改善ポイントが、現場の労働者の要望や困っている事とズレが生じていないかをチェックする事が可能になります。
その結果、無駄の無い、効率的な職場改善を目指すことができます。
ここに挙げた職場改善の方法は、ほんの一例です。皆さんの事業場毎、部門毎に合った方法で職場改善に繋げていただければと思います。
職場改善の注意点
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- ①集団分析結果の改善を目標にしない
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今の職場の状況を断片的に切り取り、数値やグラフによって定量化し、表現しているのが集団分析結果であると言えます。また、改善すべきは職場の全体的な労働状況であって、集団分析結果そのものではありません。職場の風通しが良くなった。職場の雰囲気が良くなった。その職場の変化を起こすためにはどういったアクションが必要でしょうか。数値にとらわれすぎず、職場全体はどんな状態が理想的なのかを考えてみましょう。
今抱えている部署の課題や、数年先の部署のあるべき姿を大きな視野で捉え、本質的な職場改善に取り組む。それが一番重要な事であると考えています。
その結果、部署の集団分析結果が副作用的に変化する。つまりストレスチェックの集団分析は「その職場の状況を定期的にチェックする定量化ツールである」と言えます。
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- ②できる事から、必要な事から始める
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組織内での一律的な職場改善は部署によっては出来ない事もあり、取り組みとしては大変素晴らしい事ですが、実際の職場改善目標や取り組み内容の設定には柔軟性を持たせることが必要であると思われます。
また上司層が考えている必要な改善点と、現場のスタッフが考えている必要な改善点がズレてる場合も多く存在し、注意が必要です。
対策を考える際に、再度、職場改善の要望をヒアリングする等のアンケート調査や、改善の必要性とコスト面を考えた優先順位の設定の話合いの場を持つ等の問題点の認識共有の場作りも重要な取り組みであると言えます。
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- ③特定の人やイベントではなく、仕組みに
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ある特定の人が頑張って、職場改善をする。ある職場改善のイベントを実施して、職場改善とする。どちらもその取り組みには限界がある、あるいは効果が見込めない取り組みであると言えます。
ある特定の人やイベントに頼るのではなく、取り組み自体は忘れていても、自然と何処かでPDCAサイクルが回る、継続した仕組みを各部署に合わせた形で実施する事が大切かと思います。